マスクを滅菌?

サージカルマスク

マスクの滅菌再利用

しばらく前から、診療用のマスクやエタノールが足りなくなりそうだという話が大学の同期で利用しているLINEのグループで交わされていました。
エタノールに代わる消毒薬については話しが単純ですので、「イソプロパノール買っとけ」で済んでましたが、マスクの消毒については性能の低下について確実な事は言えませんので黙っていたら、オートクレーブで滅菌して再利用してみたという奴が現れました。

オートクレーブとは

昔の歯医者では、普段治療に使用している歯科器材を煮沸消毒していました。僕が歯医者になりたての頃にアルバイトで働いていた歯科医院も煮沸消毒器で消毒をしていましたが、その後の歯科生活に於いて歯科器材の煮沸消毒を目撃する事は無くなりました。
煮沸消毒に代わって歯科界でスタンダードとなったのは、オートクレーブとも呼ばれる高圧蒸気滅菌器です。
煮沸では100℃以上にはできませんが、高圧にする事で水蒸気をより高温にできます。
これにより、ほとんどの微生物を死滅させる事ができるようになり、それまでは消毒しかできていなかったものを滅菌できるようになりました。
タフで有名なクマムシもオートクレーブには勝てません。

そんなオートクレーブを使って、最初は121℃で、次に132℃で滅菌をしたそうです。両方とも匂いも無く問題ナシだと言っていましたが、「問題ナシ」の根拠が分かりません(笑)
ドロドロに溶けてないとか、変な臭いがしないとか、その程度で判断してる様子です。

そこで、サージカルマスクを構成する素材の耐熱温度を調べてみました。
商品によって多少の違いはあるんでしょうけど、サージカルマスクの不織布は大抵ポリエチレンとポリプロピレンです。
ポリエチレンの耐熱温度は高くても110℃132℃だったら融点ギリギリでしょう。ポリプロピレンの方が多少耐熱温度が高く140ぐらいです。

たぶん、オートクレーブで滅菌してもギリギリ溶けてはいないと思いますが、耐熱温度よりちょびっとだけ高い温度なので無事では無い筈です。
耳ゴムの素材の耐熱温度も似たようなものですので、マスク全体がギリギリの状態でしょう。
そんな状態の「問題ナシ」なマスクを装着して新型コロナウイルスがたっぷり混じった飛沫の中に入って行く勇気は僕にはありません。

そりゃ、滅菌前に付着したウイルスは完全に死滅してます。それだけは間違いないので、その点は安心ですが、再利用時に滅菌前の性能を維持しているとはとても思えませんので安心して再利用はできません。安心なのに安心じゃないっていう・・・

消毒と滅菌

消毒と滅菌はどう違うのでしょうか?

消毒=病気にならない程度にきれい
滅菌=微生物が一匹もいない状態

という事です。
一般的なサージカルマスクは滅菌されずに売っており、それを皆何の躊躇いもなく装着してて、何の問題も起きていませんので、マスクにオートクレーブはオーバースペックです。消毒レベルの清潔でOK。

消毒液をかけた方が良くないか?

今回問題にしているのは新型コロナウイルスで、アルコールと次亜塩素酸ナトリウムが有効であるのは既に分かっていますから、オートクレーブなんて大袈裟でマスクを壊しそうなもの持ち出さなくても、例えば短時間で再利用したい場合にはエタノールなりイソプロパノールなりのアルコール系、一晩吊しておけるなら次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系消毒薬の方がマスクに対する影響が少ないはずです。

特に合成樹脂等を変質させる可能性のあるアルコール系よりも次亜塩素酸ナトリウムを上手に使えば良いんじゃないかと思います。
但し、次亜塩素酸ナトリウムはノーズフィットワイヤーの金属を腐食する可能性があります。マスクのフィルターがどうにかなるよりは、少しぐらいなら腐食したって問題なさそうなパーツですけど。

結論

  1. オートクレーブに入れたマスクは完璧に清潔
  2. マスクをオートクレーブに入れてもギリギリ溶けない
  3. マスクなんて消毒で十分

以下、マスク再利用のついて最新の記事です。

マスク再利用の現状
新型コロナウイルスの感染症が発生して真先に品切れになったマスクについて、少し状況が変わりましたので、現状に合わせた考えを述べてみました。
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