歯周疾患検診

歯周疾患検診

歯周疾患検診とは

歯周疾患検診とか歯周病検診という無料検診を行政から委託されてというか、歯科医師会が推薦して行政から指定された歯科医院で行っています。

歯周疾患と言いつつ、歯周疾患だけでなくむし歯やその他粘膜の疾患や嚥下機能まで、広範囲に渡って調べるので、受診者にとってはかなりお得なものになっています。
歯医者側としても、無料検診がその後の通院のきっかけになってくれれば患者増に繋がりますから、ありがたいです。

以下、現在行われている歯周疾患検診の具体的な内容です。検診の仕方はおおよそ規格化されていますので、地域によって多少の差はあるものの、大体こんなところだろうと思います。

歯周疾患検診の検査内容

具体的には、以下の検査を行います。

歯の状態

健全歯

むし歯に罹ったことの無い健全な歯を指します。

未処置歯

今現在むし歯になっており、まだ治療が行われていない歯を指します。

処置歯

過去にむし歯になって治療が行われた歯を指します。

要補綴歯

抜けて無くなっている(欠損)歯のうち、欠損補綴(入れ歯とかブリッジとか)が必要であるが、まだ欠損補綴されていない歯を指します。

欠損補綴歯

欠損している部分に補綴がされている歯を指します。

補綴処置不要歯

欠損はしているが補綴の必要が無い歯を指します。
例えば親知らずであるとか、矯正の為に便宜的に抜いてあり隙間が閉じている歯等です。

歯肉の状態

全ての歯ではなく、代表的な6か所10歯(上顎右側中切歯、上下左右第一大臼歯・第二大臼歯、下顎左側中切歯)について歯周疾患の程度を調べます。
WHOプローブという、歯周ポケットの深さを測る道具を使って、上顎の歯は外側半周を、下顎の歯は内側半周を上下に動かしながら探って調べます。この検査をプロービングと呼びます。
少しチクチクした感じ阿賀あると思いますが、傷付けるほど強くは押していませんので、心配は不要です。
何故1.2.3ではなく1.2.9なのか分かりませんが、たぶん、生の数字ではなく足して統計的な操作をする為なんでしょう。

PD

歯周ポケットの深さを測る事で、歯周病のおおよその進行度を知る事ができます。

0.以下の所見が全て認められない
1.4~5mm
2.6mm超
9.プロービングができない歯(例:根の露出が根尖まで及ぶ等)
X.該当する歯なし

BOP

プロービングをすると、歯肉に炎症がある場合は歯周ポケットからの出血が見られますので、この有無を記録します。

0.以下の所見が全て認められない
1.プロービング後 10~30 秒以内に出血が認められる。
9.プロービングができない歯(例:根の露出が根尖まで及ぶ等)
X.該当する歯なし

口腔内の状況

清掃状態

1.ほとんどの歯垢の存在が認められない状態
2.普通
3.1 歯以上の歯の歯肉縁に歯面 1/3 を超えて歯垢が認められる場合

歯石の沈着

1.なし
2.軽度(点状)
3.中程度(帯状)以上

その他の所見

歯列咬合

咬み合わせや歯並びについて、更に詳しい検査が必要か否かを診ます。

顎関節

顎の関節に痛みや雑音が無いか、正常に開閉できるかを診ます。

粘膜

口腔粘膜について、更に詳しい検査が必要な所見の有無を診ます。

その他

上記以外に気になる所見の有無を調べます。

咀嚼筋触診

76歳・81歳のみを対象とした筋力の低下の度合いを調べる検査です。

咬筋

左右の眉尻の横に三指(第 2・3・4 指)の指先腹の部分で軽く触れ「痛くない範囲でできるだけ強く奥歯で噛んでください」と伝え、緊張して硬くなる感覚を評価します。

1.強い 指先が強く押される。 硬くなっているのが明確に触診できる。
2.弱い 指先が弱く押される。 硬くなっているのがほとんど触診できない。
3.なし 指先が押される感覚がない。 硬くなっているのが全く触診できない。

側頭筋

左右の眉尻の横に二指(第 2・3 指)の指先腹の部分で軽く触れ「痛くない範囲でできるだけ強く
奥歯で噛んでください」と伝え、緊張して硬くなる感覚を評価します。

1.強い 指先が強く押される。 硬くなっているのが明確に触診できる。
2.弱い 指先が弱く押される。 硬くなっているのがほとんど触診できない。
3.なし 指先が押される感覚がない。 硬くなっているのが全く触診できない。

嚥下検査

76歳・81歳のみを対象とした、摂食嚥下機能の衰えを調べる検査です。
喉頭隆起・舌骨相当部に指腹を当て「できるだけ何回も“ゴックン”と唾を飲むことを繰り返してください」と伝え、30 秒間で空嚥下できた回数を指腹によりカウントします。

1.3回以上
2.2回以下

今後の方針

1.当歯科医療機関にて検査・治療予定
2.当歯科医療機関にて指導・経過観察・検査予定
3.かかりつけ歯科医院へ受診勧奨
4.その他

要するに、1.うちで精査するか、2.うちで治すか、3.他所に行くか、4.問題ナシなのでこれでおしまいか、という選択になります。

歯科医師会に加入している歯医者でしか歯周疾患検診が受けられませんので、普段通ってらっしゃる歯医者が歯科医師会に入っていない所だったら3という事になります。
歯周疾患検診を受けて「歯石が無く清掃状態も良好」というケースは稀です。また、無料とは言え検診を受けようという方は比較的意識が高く、2になるケースよりも1になるケース、「歯石がちょこっと付いてるのでお掃除しましょうね」となる事が多いです。

判定と結果

異常なし

既述の通り、無料とは言え検診を受けようという方は歯の管理について意識が高く、異常が無い方もたまにはいらっしゃいます。
BOP・PDコードが0で、未処置歯、要補綴歯、歯石の付着その他所見が無い方が対象の判定結果です。

要指導

歯肉に炎症があり、歯石や汚れの付着がある方です。
BOPコードが1で、かつPDコードが0の方、または口腔清掃状態不良の方、歯石が軽度~中程度以上付着している方が対象になります。

要精密検査

歯周病の疑いがある他、治療が必要な個所が見受けられた場合で、精密検査および歯科治療を受ける事を勧めます。
PDコードが1または2の方、未処置歯または要補綴歯がある方、その他の所見で検査や治療が必要と思われる個所がある方が対象になります。

問診票

当日は検査だけでなく、検診が始まる前に書いて頂いた問診票を参考に指導を行います。
検診表には、歯磨きの回数や時間等、かかりつけ歯科医院の有無や定期健診を受けているか否か、76歳と81歳の方には咀嚼・嚥下機能の衰え、いわゆるオーラルフレイルについての自覚の有無を尋ねます。

保険で検診は行えない

行政の負担で検診を行ってくれるというのは、患者さんにとっても歯医者にとっても、おまけに国にとってもメリットがあります。

現在の健康保険は、病気の治療に対して給付されるという原則があります。
なので、歯列矯正やホワイトニングには保険が効かないわけですが、実は検診にも保険が使えません。保険は病気になった後に使うもので、予防に使うものではないからです。
そこで、歯医者は患者さんに検診してくれと言われると色々と気を回して解釈し、保険で診ているというのが現状です。具体的には、患者さんは「気になる所は無いけど念のために検査して下さい」と言ったとしても「最近歯磨きで出血があるので歯周病かどうか見て下さい」とか「デンタルフロスが引っ掛かるんですけどむし歯ができてないかどうか見て下さい」とか言ったという前提で『歯周病の疑い』や『う蝕の疑い』という疑い病名に対しての精査という形を取ります。歯科には疑い病名というジャンルがあって、患者さんの訴えに対して病気かもしれないから調べてみるという事が許されるんですね。そこで病気じゃなかったら、見ただけでおしまい。例えば歯石が付いてたら疑い病名が歯周病という病名に変わって歯石を取るという事になります。
患者さんから「検診して下さい」と言われた時に「保険じゃ検診はできません」と言わずに、なんとか診られるように苦労してるんですね。

一方、国の方だって、医療費は削減したいじゃないですか。早期発見早期治療や予防にお金を使う方が、病気が悪化してから使うよりも圧倒的に安く済ませられるので、国としては検診を受けさせたいんですが上記の理由によって建前としては保険が使えないっていうジレンマがあります。そこで、全員は無理だけど年齢を区切って検診を受けさせた方がトータルで考えるとお得という事になるわけです。

歯周疾患検診の規格化

歯周疾患検診は厚労省で作成した検診方法のマニュアルを参考に各自治体で実施しています。なので、どこの地区で検診を受けても大きな違いが無いようになっています。

歯周疾患検診の注意事項

行政が行っている歯周疾患は無料ですが、検診の結果、歯石の除去であるとかむし歯の治療を行う必要があった場合には、別途、お金が掛かることになります。あくまでも無料なのは上記の検査だけです。

ここの境界を明確にするために、行政からは歯周疾患検診と治療は同日に行ってくれるなと指示が出ています。行政サイドとしては、「無料だと思って検診に行ったらお金が掛かった」というクレームが入るのを恐れているんですね。なので、歯医者の方もそれを汲んで、原則的には治療や精査には日を改めていらして頂くようにしています。
その事情を患者さんに話すと、大方が納得して下さいますが、たまに「そんなクレームあり得ないだろ。面倒だから今日一緒にやってくれよ」といかにも言いたそうな顔をなさる方もいらっしゃいます。検診を受ける要件として了承してくれるか否かという話ですので、ここで了承してくれなければ検診は行わないという姿勢を受診者も感じるのでしょう、実際に口に出すような事はありません。が、文句は言いたそうな顔をします。

先日は年末ギリギリでもう年内の予約は取れない状況だったので、何度も何度も確認の上、検診と一緒に歯石除去を行いましたが、そんな事はかなりの例外です。
なぜそんなに慎重に念を押すのかという顔を患者さんはなさっていましたが、うちじゃないですけど実際にクレームの例があるんですよ。「無料だと思って行って歯石も取りましょうねと言われて取ったらお金が掛かった!最悪!!」ってクレームが、今年に入って実際に行政に来てるらしいです。
歯医者の方の説明不足だったのか、患者さん側の認識不足だったのか、話を聞いただけでは何とも言えませんが、日を別にすりゃあ防げたトラブルだろうとは思います。

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