マスク再利用の現状

サージカルマスク

新型コロナウイルスが出現して真っ先に品薄になったのがマスクです。
4月になった今も歯科材料店でも品切れのままですし、ドラッグストアの棚もカラッポです。ドラッグストアに開店前からできている行列に並べば入手できる事もあるようですし、偶然行ったホームセンターで思いがけなく入手できる場合もありますが、概ね入手困難ですので、いまだにマスク再利用に興味をお持ちの方は多いでしょう。

過去に書いた記事と意見の相違や矛盾があるかもしれませんが、過去の記事が間違いで、この記事が今の僕の意見です。、時が経つにつれ分かってきた事もありますし周囲の状況も変化しましたので、現状に合わせたアップデートという形でマスクの再利用についてお伝えします。

今までのマスクの再利用方法

今まで僕がやったり友人の歯科医がやってみた再利用方法をご紹介します。
マスクの消毒について結論を先に言っておきますと、ここに挙げた方法は全てマスクのフィルター性能を低下させる可能性があります。
自分が感染者だった場合に再利用した不織布のマスクでもマスク無しやガーゼマスクよりはだいぶマシだと思いますので、「他の人にうつさない」という観点から言うと、有効であると思いますが、自分の身を守るとう観点から言うと消毒して再利用をすべきでは無さそうです。
もっとも、そもそもマスク周囲からの漏れが多いサージカルマスクは自分の身を守る能力が低いという考え方もありますけど。

アルコール消毒

エンベロープウイルスである新型コロナウイルスの不活化には、アルコールや下記の次亜塩素酸ナトリウムが有効ですので、マスク表面に付着した新型コロナウイルスを不活化してマスクをリセットするにはアルコール消毒が良いだろうという事で、マスクを外すたびにシュッ!と80%程度のエタノールや70%程度のイソプロパノールをスプレーして、乾燥してから再使用していました。

マスクのオモテ面は撥水加工がされていて血液やウイルスを含んだ飛沫が染み込まないようになっており、一説にはアルコールはその撥水性能を低下させるとされていますが、その件については他に記事を書きますので、それをご覧下さい。

サージカルマスクの中層にはメルトブロー不織布というものが使われており、これが荷電する事によって繊維の隙間よりも小さな粒子を吸着するという仕組みである事が多いようです。どういう仕組みなのかさっぱり分かりませんけど、アルコール消毒によってこのフィルター性能が悪くなるらしいです。「らしい」というのは、聞きかじった話で自分の目で確かめた話じゃないからですが、あちこちで同様の意見がありますので「良く分からんけどともかく、そういう事なんだろうな」と信じた次第です。

アルコール消毒を行ってみて、アルコール消毒によるフィルター性能の変化は全く分かりませんでした(そりゃそうだ)。消毒の効果だって目に見えるものではありませんので分かりませんが、続けて使ってると臭いが気になってくるものですが、アルコール消毒を行うと臭いも発生せず毎回とてもフレッシュに気持ち良く使えました。装着した時に新型コロナウイルスを始め殆どの微生物がいない(だろう)と思える安心感と快適性は、ひょっとすると実際の性能低下よりも重視すべきかもしれません。

次亜塩素酸ナトリウム消毒

次亜塩素酸ナトリウムはアルコールと共に新型コロナウイルスに効く消毒薬の代表格です。
エタノールと違って生産が安定しているのか、エタノールと比較して刺激性や腐食性が高く使い勝手が悪い所為か、いまだに品薄になる気配が無いので、その面で安心して使えます。

エタノールはスプレーして数十秒で使用できるほど素早く乾燥しますが、次亜塩素酸ナトリウムをマスクに使った場合、乾燥が遅いので一晩置かないと安心して使えません。
それでも流石に漂白剤であるだけの事はあり、翌朝乾燥したマスクを着用すると清々しいと言えるほどのフレッシュ感が得られます。まるで新品です。

でもやっぱり、フィルター性能を低下させるらしいです。実際に比べたわけじゃありませんが、当然、ガーゼのマスクよりはずっとマシだろうとは思いますけど。

オートクレーブ滅菌

他の記事にも書きましたが、オートクレーブとは高圧蒸気滅菌器の事で、ほとんどの歯医者さんで器具等の滅菌に使用している器械です。滅菌というぐらいですから、徹底的に微生物を殺してくれる頼れる奴です。
これについては僕が試したわけでなく、友人の歯科医がやってみた再生方法で、友人の話によると、臭いも無く快適に使用できたという事です。

どう考えても、いくら全ての微生物を殺すと言ってもその熱はいかんだろ?と思っていたんですが、やっぱりダメらしいです。
前述のメルトブロー不織布はたいへん細い繊維でできているらしく、元の素材の耐熱温度とすれば耐えられる筈ですが、繊維が細いので変形してしまってフィルター効果が低下するらしいです。

アイロン消毒

温度管理がしにくく、消毒効果だって確かめようが無く、下手すりゃマスクが融けちゃうし、融けてなくたってノーダメージの筈が無い消毒方法です。使い込んでヨレヨレになったマスクをピン!とさせたい場合は、自己責任でどうぞ。友人によると100℃以下ならギリ融けないそうです。

いよいよとなったら

新型コロナウイルスの特徴の一つに「無症候(性)キャリア」の存在があります。これはサイレントキャリアとも呼ばれ、症状が無いので無自覚のまま他人にうつしてしまう感染者の事です。
たぶん、実は無症候キャリアが隣にいたりするというシチュエーションも有り得るんでしょうけど、身近で感染したという話を聞かず、なんとなく遠くで起こっている事のような実感の無さがいまだにあります。例えば親しくしている同業者が感染したというような話を聞いたら、しかも続々と感染が判明してるなんていう話を聞いたら急に現実味を帯びて慌てるんでしょう。
そうなった場合は、たぶんマスクの再利用とかってケチくさい事を考えずに全力で感染を防ぐモードに入って、毎日マスクを取り換えたり、場合によっては患者さんごとにマスクを交換したりするかもしれません。
毎日マスクを取り換えても数か月保つぐらいの数はストックできているので、それは今でも可能ですが、「いよいよ」という時まで温存しておきたい気持ちがあります。

ローテーション法

人間の体内から出たウイルスはいずれ感染力を失うだろう事は僕なんかでも予想できていましたが、きちんとしたデータが無い限りはいつまでも生き続けるという仮定で消毒を行う必要がありました。

それがこの度、米ロッキー・マウンテン研究所の発表によって新型コロナウイルスがどんな場所でどの程度感染力を保つのかがはっきりしました。
空中に拡散した飛沫内で最長3時間、段ボール表面で最長24時間、プラスチック・ステンレスで2~3日感染力を保つそうです。
又聞きの又聞きの所為かもしれませんけど、空中と段ボールでは最長の時間で表わし、プラスチックとステンレスでは2~3日っていう表わし方はどうなんでしょうか?表現方法を統一して頂きたいと思うんですが、これは英語を和訳したのを又聞きの又聞きなので起こった混乱なんでしょうか?とにかくこれは、プラスチックおよびステンレス上では最長3日という事で相違ありませんよね?

もうひとつ不満があるんですが、もっと色々な物で検査できなかったんでしょうか?きっと一般の人は「洋服に付いたらどうなるの?」もっと言えば「ウールはどうなの?」「コットンだったら?」って思いますよね?そして一番知りたいのは「マスクの表面では何日生きてるの?」って事です。

段ボールとプラスチック(関西方面ではプラッチックとも言う)ではどこが違うのか、なかなか情報が得られないので推測するしかありませんが、間違ってたらごめんなさい、たぶんですけど、乾燥しやすいかどうかという事が生存時間を左右するように思います。
つまり、段ボールは水分を吸収するので表面に付いたウイルスが乾きやすいので短時間しか生きられず、プラスチックは水分を吸収しにくいので表面に付いたウイルスが乾きにくいので長時間生きられるって事です。
では、マスクは段ボール寄りなの?プラスチック寄りなの?という疑問が生じます。
そこで前述のマスクのオモテ面に話が戻ります。
たぶん、ガーゼマスクは段ボール寄りですが、オモテ面に撥水加工が施されたサージカルマスクはプラスチック寄りになるでしょう。
だったらガーゼマスクの方がウイルスが短時間で死ぬからいいじゃん!って思うかもしれませんが、それは間違いです。マトモに飛沫を浴びたら、ガーゼマスクの目はスカスカなので死ぬ前の新鮮なウイルスをじゅるっと吸い込んでしまうに違いありません。

という事で、ごめんなさい、前振りが長くなりました。
プラスチック寄りのサージカルマスク表面のウイルスは3日で感染力を失うので、3日寝かせれば再利用して差し支えないだろう(新型コロナウイルスに対しては)という事です。

最近、うちでは洗濯ばさみがズラッとぶら下がった洗濯物ハンガーを用意して、そこに3枚のマスクを干してローテーションで使うようにしました。気にしなきゃいけない問題は新型コロナウイルスだけじゃなく、他の微生物や口の周りのケチャップやファンデーションが付着しますので、そう何回も使い回しできないとは思いますが、ウイルスの生存時間がはっきりした事で、ずいぶん安心してマスクが使えるようになりました。
ちなみに、うちは木・日休診なので3枚のマスクがあれば3日寝かせたローテーションが組めます。

このローテーション法ですが、今この時期に取り入れたのはロッキー・マウンテン研究所の発表があったという事もありますが、診療の内容を制限して患者さんを少なくしているという事も関係しています。
マスクの使用上の注意として「一日一枚で」という意味の記述がある事が多いんですが、他の記事にも書きましたが一日って何?という解釈の曖昧さがあります。まさか装着してから24時間を一日としてカウントしてる訳じゃないでしょうし、午前0時を境に日が変わるルールでも無いでしょう。(本当のところは、安全を考えると一日一枚では無く一回限定で廃棄すべきなんだろうと思います)
どうせ元から曖昧な一日の定義ですので、マスクの脱着をヘタにあちこち汚染せずに行えるならという前提で、累積8~12時間ぐらいなら一日と考えていいんじゃないの?という極めて自分勝手な解釈で捉えると、患者数が少なくなって累積診療時間が減った今なら8~12時間を3日寝かした二回に分けて使ったって問題無かろうという理屈です。

※洗濯物ハンガーの設置場所は飛沫で汚染されないよう診療室を避けるべきです

まとめ

  1. マスクを消毒すると性能が低下するらしい
  2. マスクを消毒するとフレッシュで快適
  3. 今はサージカルマスクは3日(程度)寝かせて再利用
  4. やばくなったら毎日変えるかも
  5. もっとやばそうなら、患者ごとに変えるかも

あくまでも、うちでの対応です。いい加減で曖昧ですので、参考になさる場合は自己責任でお願いいたします。

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