症状から推測するむし歯の状態と治療法


ややこしいタイトルすいません。

皆様から嫌われることの多い歯医者ですが、どんな症状のとき歯はどうなっていてどんな治療を行うのか、おおよその所が分かっていたなら、わりと安心して受診できるんじゃないでしょうか。

放置しとくとやばい!と分かったならば、症状の軽いうちに歯医者に相談できるんじゃないでしょうか。

という事で、ここではむし歯の軽い順に症状から状態と治療法を推測し、放置したその先に何が待ち構えているのかを理解して貰おうという記事です。

下の記事を参照しながらお読みいただけると理解が深まると思います。

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甘いものが沁みる

意外かもしれませんが、最も初期に表れる可能性のあるのが、(すごく)甘いものが沁みるという症状です。

エナメル質が崩れて象牙質に差し掛かったばかりの小さい小さい穴の中に、例えばチョコレートとかキャラメルとか羊羹とか、とにかくすごく甘いものが詰まったと考えて下さい。
象牙質に含まれる水分が濃度の高い羊羹方向へ吸い出され、その時の水分の移動が象牙質の中に入っている神経線維を刺激して痛みを感じると言われています。
比較的はっきりしたズキーン!という痛みが数分続くはずです。

他の症状が全くないならば、状態は初期のC2で、むし歯部分を削って詰め物をする事になります。
ひょっとすると、麻酔をしないでも痛みを感じさせずに治療を終える事ができるかもしれません。

冷たいものが沁みる

ここではむし歯に限定して話を進めています。
冷たいものが沁みるという症状と甘いものが沁みるという症状が一緒に出る可能性があります。その他の症状が無いならばむし歯の進行度合いはC2という事になります。
むし歯の程度によって沁み具合が違います。もちろん、沁みる頻度が高ければ、痛みが強ければむし歯の程度が大きい事を意味します。また、どの程度冷たいものが沁みたかも重要な情報で、アイスや氷水などは健康な歯でも沁みることがあるぐらいですが、さほど冷たくないものでも沁みるようならば要注意です。歯髄に炎症が起こっていて、もう少しで後戻りできないラインを越えてしまいそうな事を意味します。

麻酔をするかしないかについては、改めて記事を書く予定ですが、歯を削る時には削る道具が発生する熱を抑えるために注水をします。この水(普通の水道水の温度)が沁みるようならば削ってる間中沁みる痛みを我慢させなければいけませんので、あらかじめ麻酔をした方が楽な場合が多いでしょう。
局所麻酔下でむし歯部分を削り取って詰め物をするという事になるはずです。

むし歯をなぜ削らなければいけないのかについては、改めて記事にする予定です。
また、詰めるべきか被せるべきか、どんな材料を使うのか、などは歯科医によって意見が異なりますしケースによっても違いますから、ここではその話題は避けます。

熱いものが沁みる

熱いものが沁みるという症状は歯髄に強い炎症が起こっている事を意味します。むし歯の進行度合いとしては歯髄まで届きかかっているか、すでに届いている程度。C2末期~C3初期というところでしょうか。歯髄の炎症は回復不能な領域に達しているかもしれません。その場合、どんな処置を行っても、歯髄の炎症は次の段階へ進んでしまいます。

歯髄の炎症の進み具合にもよりますが、即座に抜髄(神経を取る処置)をするかどうかは術者の判断および患者さんの希望により異なると思います。「痛くなっちゃったら神経を取りましょうね」という話になるかもしれませんし、「痛くならないように神経を取りましょうね」という話になるかもしれません。「大丈夫ですよ、必ず落ち着きます」とはなかなか言えない状況です。

ズキズキする(間欠的)

むし歯はC3へと突入し、いよいよ歯髄の炎症がやばい感じです。
体が温まった状態や横になると心拍に合わせてズキズキとした痛みが間欠的に訪れます。
歯髄の炎症は落ち着く可能性を失っていますので、抜髄を行う必要があります。
今では麻酔下での抜髄が主流だと思いますが、以前はヒ素やパラホルムアルデヒドを主成分とした薬剤を封入して歯髄を失活させる(殺す)方法も使われていました。

ズキズキする(持続的)

間欠的なズキズキから数日経つと、持続的なズキズキに変わり、歯髄の炎症は最高潮になります。完全なるC3、歯髄まで完全に届く大穴がぼっかりと開いている状態です。
持続的ズキズキと併せて、咬んだり叩いたり、歯に力が加わった時に痛むという症状も出ているかもしれません。これは歯髄の炎症が歯根を取り巻いている歯根膜まで広がって、通常なら圧力を感じるはずの歯根膜が炎症によって過敏になっているという事を表します。
四六時中続く、鎮痛剤もあまり効かない耐えがたいズキズキは1日か2日で終わり、歯髄は失活してしまいます。

この持続的なズキズキの最中は麻酔が効きにくくなっています。麻酔というのは刺激を遮断する薬ではなく域値を上げる、要するに鈍感にする薬です。「炎症真っ盛りで超敏感になってる歯の神経を少しぐらい鈍感にしたところでぜんぜん痛い」という事です。
麻酔の方法にも種類があって、そんな真っ盛りの神経でも何とかできる麻酔法はありますけど、通常使う麻酔の方法よりもリスクが高かったり注射が痛かったりします。
つまり、こうなる前に歯医者へ行った方が良いという事です。

痛くなくなっちゃった

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歯髄が死ぬと、ズキズキは一旦無くなります。だけど治ったわけじゃありません。

歯の内部では細菌の増殖が進み、やがて根尖から外へ溢れ出て、歯根周囲の骨を侵し始めます。当然、歯根周囲では体と細菌の攻防が起こります。普段はお互い比較的静かに戦ってるんですけど、例えば疲労が溜まったとかの切欠によって拮抗していた体と細菌のバランスが崩れて細菌が優勢になると、一気に炎症は大きくなって短時間に膿がたくさん作られます。その膿の圧力によって激しい痛みが生じます。
1日程度ズキズキした後、歯肉が腫れて膿を持ち、痛みが引きます。膿の圧力が骨を突き破って歯肉方向へ逃げたんですね。しばらくすると膿は体に吸収されるか、腫れてる歯肉の中心あたりにポチっとした穴(婁孔…ろうこう)が開いて膿の出口ができて腫れが引く方向に向かいます。

腫れが引いたからって、治ったわけじゃありません。その後何度も同じ事を繰り返して、最終的には歯がグラグラになって体の外へ排出される(抜けちゃう)事になります。それが虫歯の治療を一切行わなかった場合の結末です。
当然、何度も鎮痛剤があまり効かないような痛みや、口の外から他人が見ても分かる腫れを経験し、むし歯の穴の中や婁孔から排出される膿の強烈な臭いを放つことになります。

なので、むし歯を作らない事、日頃から定期的に歯医者で検診を受ける習慣を持つ事が一番ですが、それができなければせめて甘いものが沁みるとか冷たいものが沁みる程度の時に歯科を受診される事をお勧めします。

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