僕も嘔吐反射が強いんです

嘔吐反射とは

正しくは異常絞扼反射(いじょうこうやくはんしゃ)と言うらしいですが、口の奥の方や喉の方を触ると反射が生じて吐き気を催します。
僕の印象では、嘔吐反射が強い患者さんは、上の奥歯内側の歯肉に触れるとアウトになる気がします。

嘔吐反射図

嘔吐反射が強いとどうなるのか

嘔吐反射が強いと、ちょっとした刺激で「おぅえっ!」となります。
一度嘔吐反射が始まると、もう反射なので堪える事はできません。体を二つに折って「おぅえっ!」となります。
自分が嘔吐反射強い事を知ってる患者さんの場合は、実際に口の中を触らなくても、触りそうになるだけで「おぅえっ!」となります。精神的な緊張がそうさせるわけで、そうなったら最後、何もできません。

嘔吐反射が強いと何が困るのか

あくまでも歯科領域での話ですが、

型が採れない

特に上の奥歯の型を採ろうとした時になりがちです。上の歯全体を採ろうとしたらもう、確実に嘔吐反射が出ます。型を採る材料が喉の方に流れないように固めに練りますけど、嘔吐反射が出る時は精神状態がもうヲヱヲヱになってますので、何をしたって無理です。
一旦嘔吐反射が出てしまうと、患者さんが自分で勝手に型を採る器具を取り出そうとしちゃいます。型を採る材料がまだ固まっていませんので、それがドロドロのまま喉の奥に残って、患者さんは大暴れになるわけです。少しぐらいなら「おぅえっ!」となっても我慢させて固まってから取り出すようにした方が良いと思います。

上顎印象トレー

レントゲンが撮れない

特に上の奥歯のレントゲン写真を撮ろうとすると、フィルムが奥歯の裏側の歯肉に当たります。自分の指なら嘔吐反射が起きないのかもしれませんが、自分で押さえさせる前にこちらがフィルムを入れますので、もうその段階で始まっちゃいます。
口の中にフィルムを入れて撮るタイプのレントゲンはあきらめて、嘔吐反射の強い患者さんは口の外から撮る方法だけで何とかするしかありません。

奥の方が削れない

歯を削る時は、歯だけに意識を集中してれば良いわけではなく、舌や頬を削る道具で傷付けないように気を付ける必要があります。デンタルミラーやバキュームチップ(水を吸うやつ)で舌や頬を保護しつつ削るんですが、その保護のミラーやバキュームチップが舌の奥の方や歯肉に触れたとたん、嘔吐反射が始まるわけです。その際、患者さんは大きく動きますので、周囲の組織を傷付けないように注意しなければいけません。

僕も嘔吐反射が強いんです

平気な顔して口の中に手を入れてますけど、僕も嘔吐反射が強めです。
小学校の集団検診で扁桃腺を医者に見せる時に舌圧子で舌の奥を押さえられて、毎回「おぅえっ!」と体を二つに折ってました。
学生時代に実習で、下手くそな助教授がデロデロに柔らかく練った材料で僕の歯の型を採ろうとしたところ、喉の奥の方にそれが流れ込んでしまい、体を二つに折って涙を流して「おぅえっ!」となってしまいました。今でも思い出すだけで嘔吐反射が出そうです。
ほとんどの患者さんは僕が奥の方に触れても平気な顔をしていて、僕だったら絶対に嘔吐反射出ちゃうのに偉いなぁと、毎日感心しながら治療しています。

嘔吐反射が弱いと偉いのか?

今、自分で「偉いなぁ」と書いたくせに「偉いのか?」と疑問を投げ掛けてすいません。

嘔吐反射とは、そもそも喉の奥の方に異物が入った時に排除する為の防衛反応です。喉に余るサイズの物が入った来た時に、そのまま侵入を許すと喉に詰まらせて窒息死してしまいますので、喉に入る前に拒否する為の反応です。
って事は、嘔吐反射が弱い人は自分を守る力が弱いわけで、へたすりゃ喉に餅を詰まらせて死んでしまいかねないわけです。過剰反応もどうかとは思いますが、それなりに「おぅえっ!」となる方がならないよりも偉いはずです。

嘔吐反射が強い場合の対処法

色々と対処法はあるようですが、何しろ口の中に手を入れる素振りを見せただけで始まりますので、小細工は通用しません。
確実なのは静脈内鎮静法、血液中にお薬を入れてぼんやりしているうちに治療を終わらせるやつです。そしてもっと確実なのは全身麻酔。眠っている間に歯の治療が全て終わるのなら、嘔吐反射は別にしても有難い気がします、僕でも(歯医者が嫌いなので)。

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