マスクの防水性

BFE99%マスク防水性比較[塩素系]

血液不浸透性

いわゆるサージカルマスクは3層ぐらいになっていています。
真ん中の層は微生物などを濾過する為のフィルターになっていて、オモテ側の層には浴びた血を弾くような加工がされた不織布になっているようです。
動脈からピュッ!と血が吹き出た感じの圧力に耐えられる性能を持っているらしいです。
当然、血だけではなく歯医者が治療中に浴びるようなごっつい飛沫も弾く防水性能です。

ASTM(米国試験材料協会)という世界最大級の国際基準化規格制定機関の定めた医療用マスク(ASTM-F2100-11)には血液不浸透性が求められ、何mmHgの圧力に耐えられるかという事によっても階級分けされます。

特性 レベル1 レベル2 レベル3
細菌濾過率(%) ≧95 ≧98 ≧98
微粒子濾過率(%) ≧95 ≧98 ≧98
呼気抵抗(㎜H2O/㎝2 <4.0 <5.0 <5.0
血液不浸透性(㎜Hg) 80 120 160
延燃性 Class1 Class1 Class1

歯科で必要なマスクの条件

血液に関して言えば、歯科で大きな動脈を傷付けてピュッ!と血が噴き出るという事は無いわけじゃありませんけど稀で、それが術者の顔にヒットする可能性は更に稀です。
病原体が混じった水がピュッ!と術者の顔にヒットする事も、あんまり無さそうです。
なので、高圧で浴びる事は想定しなくて良いと思います。

一方、歯を削ったり超音波機器を使ったりした場合に発生する飛沫を浴びるという事は高確率で発生しますが、これは(たぶん)低圧の部類に入ると思います。

つまり、歯科のマスクに求められるのは血液不浸透性なんて大袈裟なものでなく、水が染み込まない性質、つまり防水性であると言えます。

マスク消毒の是非

新型コロナウイルスが発生して以来世界的なマスク不足に陥っており、この状態がいつまで続くのか分かりません。
歯科材料屋さんでもドラッグストアでも欠品しているので、手持ちのマスクで何とか繋ぐしかありません。本来であれば一日一枚が原則のマスクであっても数日使いたいと思うのは当然で、更にはできればマスクのオモテ面に付いているかもしれない新型コロナウイルスやマスクの内面に付いているに決まってるそこまで病原性の高くない微生物を不活化した上で再利用したいと、きっとみんな思ってます。

もちろん僕もそう思ったので、実際にアルコール系や塩素系の消毒薬で消毒して使ってみたり、いろいろ調べてみたりしました。
僕が調べた範囲では、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムのスプレーや熱による消毒や滅菌に対して「大丈夫」という文献は無く、消毒したらマスクの性能が落ちる可能性があるので勧められないという旨の話ばかりでした。

防水性のテスト

マスクの消毒に関しての否定的な記事の中に、アルコール消毒はマスクのオモテ面の防水構造を破壊するという記述がありました。確かに、そう言われればそんな気もします。
でも、例えば「マスクのフィルター性能が落ちる」と言われたら自分でテストするわけにはいかないので納得するしかありませんが、防水性に関しては浸透を許す圧力の変化についてはテストできませんけど水を弾くか弾かないかぐらいなら簡単にテストできます。
よし、やってみよう!という事で、いい加減で簡単ではありますが、テストしてみました。

実験に使用したのはどのぐらい前のものか分からないぐらい古いマスクと、最近買ったBFEが99%という表記があるマスク。
消毒に使ったのは、70%イソプロパノール。

古~いマスク(たぶん20年モノ)

先日納戸の奥から出てきた個別包装されたマスク。未使用ですが、テスト前に開封して装着してみました。スペックが全くわかりませんが、装着してみるとやたら呼吸の抵抗が低く、息がとても楽なので、たぶん微粒子を濾過する能力は低いと思います。

アルコール消毒前

マスク防水性比較[術前]

あら、こんなスペックがいかにも低そうな昔のマスクでもちゃんと水を弾くんだね?コロコロと綺麗に弾いてます。

アルコール消毒中

マスク防水性比較[術中]

写真じゃ分からないかもしれませんが、表面がアルコールでビショビショになってます。
マスクをどかすと、こんな感じ。

マスク防水性比較[背景]

アルコール乾燥後

マスク防水性比較[術後]

術前との変化が分からないぐらいコロコロです。
ん?アルコール消毒で防水構造を破壊するって話はどうなった?

BFE99%の最近のマスク

某歯科材料屋さんの、歯科医師会を通じて全国の歯医者に配ってくれたマスクと同スペックと思われる品です。あまり高いスペックではないものの、昔のマスクに比べりゃ新型コロナウイルスを含んだ飛沫を止めてくれるってだけで安心です。

歯科材料屋さんがマスクを寄贈してくれた
新型コロナウイルスの件でマスクの入手困難が続く中、某歯科材料屋さんが歯科医師会経由で僕たち歯医者にマスクを差し入れてくれました。

アルコール消毒前

BFE99%マスク防水性比較[術前]

アルコール消毒直後に水滴

BFE99%マスク防水性比較[術中]

古~いマスクで「ん?アルコール消毒で防水構造を破壊するって話はどうなった?」って思ったので、念の為に噴霧したアルコールが乾く前に水滴を置きました。するとシュン!って音はしなかったのですが、音がしそうな勢いで吸収されました。マスクに吸収されたのか、表面にしっとり付いたアルコールに馴染んだのかは分かりませんが、僕には吸収されたように見えました。

アルコール乾燥後

BFE99%マスク防水性比較[術後]

そしてアルコールを乾かした後に置いた水滴がこちら。弾いてますね?

0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒したら

ついでに、アルコール消毒のテストに使った後で、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒してテストしました。
どうなったかといいますと・・・トップの画像がそれ。ちゃんとコロコロと水を弾きました。

他のマスク

別記事にしたストックしてあった昔のマスクについても調べてみました。

昔のマスクはスペック的に使えるのか?
昔買ったマスクがありましたので、BFEやPFEやVFEなどのスペックを調べてみました。結果、どうしても分らなかったのですが、分らないなら分らないなりに使い道があるというものです。大切なのはそのマスクに合った使い方です。

証拠写真はありませんけど、術前・術後共にコロコロ。
例えスペックが書いてなくても、ここだけは必ず押さえる!みたいなツボなんですかね、防水性っていうのは。

結論

ド素人のテストで恐縮ですが、アルコール系および塩素系の消毒薬を使った場合、ひょっとすると幾らかの劣化はあるのかもしれませんが、少なくとも歯科領域で使用できる程度の防水性は保たれる事が分かりました。

防水構造を破壊するという論文は某国の某大学で出されたものらしいです。「らしい」というのは、僕が原文を読んだわけじゃないからで、又聞きだからです。
まさかアルコールが乾く前にテストしてないよね?と思いますが、詳細は分かりません。

飛沫が舞う中での歯科診療レベルでは、マスク表面の防水性能について70%イソプロパノール、0.1%次亜塩素酸ナトリウムでの消毒は影響を与えません。
但し、中間のフィルター層への影響は分かりません。「アルコール消毒は防水構造を破壊する」と言っていた某国の某大学ではフィルター性能が低下すると言っていますが、どうなんでしょう?防水構造は破壊されていないので、フィルター性能も低下しないんじゃないかとも思いますし、低下するかもしれないとも思います。
「アルコール消毒によってフィルター機能は低下しない」という論文が無い以上、低下すると考えて消毒を控えた方が安全なんだろうとは思います。曖昧で消極的な結論、すいません。

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