歯がすり減る

歯ぎしり

歯がすり減る

ご存知の方も多いとは思いますが、一応お知らせしときます。

歯ってすり減るんですよ。

食べ物を咬む時の顎の動きってのは、獅子舞がカチカチやるような単純な上下運動じゃなくって、牧草を食む牛のような回転運動なんですよ。
山と谷っていうか、歯には凹凸があるでしょ?凹んだ部分をミゾと表現する事も多いですね。上下の歯って、お互いの山と谷がはまり込むような感じでかみ合ってるんですけど、その山の斜面と斜面をこすり付けるように顎が動いて食べ物をすり潰すんですね。
ほんでもって、何十年とこすり合わせてるもんだから、だんだんとすり減ってきちゃうんです。

歯ぎしりすると余計にすり減る

先日、「僕って歯ぎしりしてますか?」って患者さんが聞くもんだから、「いやあ、一緒に寝た事ないので知りませんけどね、えへへ」とか言いながら歯を診てみたら年相応のすり減り方だったので、「ストレス溜まってる時はどうか分かりませんけど、日常的には歯ぎしりしてないと思いますよ」とお答えしときました。

要するに、年齢に応じて歯のすり減り方って大体決まってるんですね。食べ物の嗜好にも左右されますけど。
ほんでもって、歯ぎしりしてるとすり減り方が激しいんですよ。

そうそう、大昔の頭蓋骨が発掘された際に、歯のすり減り具合で死亡時の年齢を推測するなんて事ができるようですけど、当時の食べ物とか文化的事情も盛り込んで考えるんでしょうね。昔は今よりストレスが少なかったから歯ぎしりも少なかったと思ってる発掘の人、そりゃ違いますよ?例えば犬が器の隅に残ったドッグフードを何とか食おうとしてる際に感じているストレスは、外科医がほっそい血管縫い合わせてる時と同等です(想像)。文化の度合いに関わらず、ストレスってのは生じるもんです。犬の歯が歯ぎしりですり減ってないのは、丸呑みが基本の犬に、すり潰すように咬み合わさる形の歯が与えられていないからです。あと、舌出して寝てるし。

露出した象牙質はすり減りやすい

ご存知の通り、歯の表層はエナメル質っていう人体で一番硬い組織でできており、その内側に象牙質っていうエナメル質に比べて少し柔らかい組織があります。
エナメル質がすり減り過ぎちゃうと、すり減った面の中心部に、あたかも年輪のような感じに象牙質が露出してきます。そうすると、象牙質って柔らかいもんですから、エナメル質よりもすり減り方が早く、すり減った面はすり鉢状に凹んできます。

これが下の前歯だったりすると、そのすり鉢状の底の部分の象牙質に色素が浸透してこげ茶色になっちゃってる事が良くあります。この色、磨いても取れないんですけど、先に挙げたブリーチングを施すと(程度にもよりますけど)目立たなくする事ができます。

歯のすり減り方に年齢が表れる

僕ら歯医者は、診療中だけでなくオフタイムでも他人の歯ばっかり見ちゃう傾向がありますけど、歯医者じゃない方も、凝視こそしないかもしれませんけど、全体の印象の一部としてちゃんと見てるんですね。
ほんで、歯がすり減っちゃってたり、その中心部がこげ茶色になっちゃってる場合、(たぶん)頭のどこかで自動的に処理して、その人の見た目年齢に+5才とか無意識に加算しちゃってるに違いありません。
先程お話したような発掘の人じゃなくても、皆さん経験的に歯の色やすり減り具合で年齢を推測してるはずなんです。髪のボリュームや色、皺の数とかと一緒に。

相手方によってすり減り方が異なる

咬み合ってる上下の歯が天然歯(てんねんし=自分の歯)の場合は、すり減る量が同じです。そりゃ同じ硬さですからね。
でも咬み合う相手方の歯に金属やセラミックがかぶさってたりした場合は問題なんですよ。
金属は種類にもよりますけど、概ね多少はすり減ってくれます。でもね、セラミックってのは相当硬いんですよ。まずすり減らない。丈夫なのは良いんですけどね、天然歯ばっかりすり減っちゃうんです。本来すり減ってくれるはずの相手の分もすり減るって事になるわけです。

だからって、セラミックかぶせちゃいけないとは言ってませんよ?
セラミックはセラミックで長所がありますし、すり減ってくれる材料はすり減ってくれる材料で短所がありますからね。
全てに於いて都合の良い材料ってのは、残念ながら今のところありません。
事実を述べただけで解決策を提示できずに終了なんて心苦しいんですけど、以上で歯がすり減るって話は終わりです。

まとめ

一応、まとめでも書いておきましょうかね。

1.歯はすり減る
2.すり減った歯は老けて見える
3.犬は舌を出して寝る

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